遺言による寄付

posted by 2020.02.19

isyo_ojiisan

 社会貢献意識の高まりもあり、遺言で寄付の意思表示をされる方が増えています。
遺言による寄付については一定要件を満たせば、相続税が非課税になります。

 

① 個人に対する寄付

 個人に対する寄付は原則として相続税の課税対象ですが、寄付を受けた個人が宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で、公益を目的とする事業の用に供することが確実なものについては非課税とされます。
ただし、被相続人の親族等への利益供与がなく、2年以内に公益を目的とする事業の用に供されることなどが要件としてあります。

 

② 法人に対する寄付

 法人に対する寄付は相続税ではなく、受贈益として法人税の課税対象になります。
さらに株式や不動産については寄付した被相続人の譲渡所得の課税対象にもなります。
一旦売ってお金に換えてから寄付すると譲渡所得税がかかるのでそれと同じ考え方です。
ただ寄付しただけなのに、寄付した側に税金がかかるのは釈然としない部分はありますが、こうしておかないと含み益のある財産を寄付することで譲渡所得税を逃れられてしまうのでそれを防止するための措置です。

 ただし、次の要件を満たす寄付については譲渡所得税がかかりません。

国又は地方公共団体への寄付

・教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する公益法人等への寄付(公益法人等とは具体的には、公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、大学、日本赤十字社などが該当し、親族経営の株式会社など一般的な法人や近所のお寺、神社等は該当しません)。

寄付から2年以内に公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであること。

寄付した者の所得税又はその親族等の相続税又は贈与税の負担を不当に減少させないこと。

 

 なお管理面や換金性の面から不動産や株式による寄付を受け入れない団体もありますので、遺言による寄付をお考えの場合は事前に相談しておいた方がいいでしょう。