前回の続きで税法上の引当金の生き残り「貸倒引当金」について見ていきます。
貸倒引当金は大きく分けて「一括」と「個別」があります。
「一括」は全体の債権にかかる貸倒れリスクを平均的に見積もる方法で、「個別」は業績が芳しくない取引先への債権にかかる貸倒れリスクを個別に見積もる方法です。
まずは「一括」から。
<使える会社>
・資本金1億円以下の普通法人(資本金5億円以上の法人の100%子会社などを除く)
・資本金のない普通法人、公益法人、銀行等
<引当限度>
① 原則
期末売掛金等✕過去3年の貸倒実績率
② 中小企業等の特例※1
(期末売掛金等-実質的に債権とみられないもの※2)✕法定繰入率※3
※1 中小企業等の範囲
・資本金1億円以下
・資本金5億円以上の法人の100%子会社などを除く
・過去3年の所得の平均が15億円以上(改正項目:H31.4.1以後開始事業年度から)
・公益法人等はOKで、相互会社は不可。
※2 実質的に債権とみられないもの
同一の取引先に対して売掛金と買掛金の両方がある場合には、貸倒れの可能性のある差額部分にのみ引当金を設定するため、債権債務のうち少ない金額を控除します。
※3 法定繰入率
一般0.6%、卸売小売飲食1.0%、製造0.8%、金融保険0.3%、割賦販売1.3%
<対象債権>
〇 売掛金、貸付金、受取手形、未収入金、立替金、求償権等
✕ 未収利子、保証金、前払費用、給付金、仕入リベート等
売上げや貸付けに関連するものには設定できますが、費用や預け金の性質を持つものには設定できません。
繰入率自体は小さくて、大きな経費にはなりませんが、帳簿上の処理だけで経費にできるので売掛金などの債権が大きい会社では使っていきましょう。
次回は「個別」引当を見てきます。