前回の続きで税法上の引当金について見ていきます。
かつては、賞与引当金、退職給与引当金、特別修繕引当金、製品保証等引当金といったものも経費にできたのですが、今残っているのは貸倒引当金と返品調整引当金だけです。
今回は返品調整引当金を取り上げますがこれも廃止が決まっています。
<返品調整引当金とは>
商品販売後、無条件に返品を受け入れる取引慣行のある業種(出版、製薬、化粧品、アパレルなどの製造及び卸売)において、当期に販売した商品のうち、翌期の返品予想部分の粗利益を当期の損失として見積もる制度です。
<引当限度額>
①と②のうち大きい金額
① 期末売掛金✕返品率✕粗利率
② 期末直前2ヶ月の売上げ✕返品率✕粗利率
<廃止の背景>
会計上の収益認識基準が改正され、貸倒れや買戻し(返品)の可能性があってもないものとして売上げを認識することになりました。
法人税も会計を処理を合わせることとなり、10年間の経過措置を設けて段階的に廃止されます。
<改正内容>
【令和3(2021)年3月31日までに開始する各事業年度】
改正前規定による引当てOK
【令和3年4月1日から令和12(2030)年3月31日までの間に開始する各事業年度】
繰入限度額を毎年1/10ずつ縮小
一気に廃止すると法人税の課税が大きいため、10年かけて取り崩していきます。
次回は貸倒引当金について見ていきます。