昨日の続きで相続税申告の添付書類について見ていきます。
通りいっぺんのことは国税庁HPに書いてあるのでポイントを絞って解説します。
1.必須書類(原本と特記しない限りコピー可)
・戸籍謄本一式または法定相続情報一覧図
戸籍は相続人を特定するのが目的です。
戸籍は被相続人が生まれてから亡くなるまでがつながっていなければなりません。
相続人に関しては戸籍と住民票が必要です。
被相続人と相続人で重複する戸籍は1通でOKです。
・遺産分割協議書または遺言
・相続人の印鑑証明(原本)
印鑑証明は遺産分割協議書の実印が正しいかどうかの確認です。
海外に居住していて印鑑証明がない場合は、現地の日本領事館でサイン証明を取ることになりますが、数ヶ月かかることもあるので早めに準備しましょう。
なお税務署的には印鑑証明(またはサイン証明)の添付がない場合、遺産分割協議書の正当性が証明できないため、未分割扱いになり、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などが受けられないことになります。
2.必須ではないが通常提出
・固定資産税評価証明
建物の評価に固定資産税評価を使用するため。
3.特例を受ける場合に追加で必要なもの
・3年以内の分割見込書
期限内申告が未分割で、のちに配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受ける場合に提出します。
・小規模宅地等の特例関連
<特定居住用>
相続人が申告期限まで住み続けていることや3年以内に自宅を所有していないことを住民票や賃貸契約書などで証明。
<特定同族会社事業用>
法人の定款や株主名簿など。
<貸付事業用>
3年以上貸付事業を行なっていることを賃貸契約書等で証明。
小規模宅地等の特例関連の添付書類については実務上あまり付けておらず、問い合わせがあった場合や税務調査の際に対応していましたが、改正で小規模宅地等の要件も増えたため、今後は当初申告の段階できっちり求められる可能性があります。
他にも相続時精算課税、納税猶予、延納物納の場合などで添付書類が増えるので、電子申告ができるようになっても紙の添付書類は一定程度は残りそうです。