小規模宅地等の改正(貸付用の増税)②

posted by 2019.05.28

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 前回、小規模宅地等の特例に関して3年以内の貸付けが対象外になる改正を解説しました。
これは駆け込みで50%軽減を受けることを防ぐための改正なので、無理な節税をしていない場合には救済措置があります。

 

<救済措置>

 相続前3年以内の貸付けであっても、亡くなるまでに3年超貸付事業を継続していれば50%減は可能です。
つまり前から貸付事業をやっていて、その中の1つがたまたま3年以内である場合には、そのたまたまの分もOKということです。
なお”貸付事業”からは準事業が除かれるので、事業的規模(一戸建てなら5棟、マンションやアパートなら10室、駐車場なら50台)に満たない場合には救済措置の対象である”特定貸付事業”にはなりません。

 

<経過措置>

 改正に伴う経過措置も設けられていて、次の2つの要件を満たせば3年以内貸付けであっても50%減できます。

・平成30年4月1日から令和3年3月31日までの相続

・平成30年3月31日までに貸付事業(準事業OK)の用に供された宅地等

 

<判定に迷うケース>

① 3年超貸付けられている物件を相続前3年以内に購入→✕

 第3者が貸付事業に供していたマンション等を入居者がいる状態で相続開始前3年以内に購入した場合は50%減の対象外です。
これが認めらたら規制の意味がないので当然と言えば当然かも知れません。

 

② 相続で引き継いだ貸付用の土地に3年以内に再び相続があった場合→〇

 例えば父が貸付事業をしていて、父の死亡に伴い、母が相続して貸付事業を継続。その後3年以内に母が死亡した場合です。
母の貸付事業が始まったのは3年以内ですが、新たに貸付けの用に供されたとは考えないので、父死亡の時点で3年超貸付事業継続の要件を満たしていれば、母死亡時にも50%減できます。
なお、3年のカウントは父と母の期間を足すわけではなく、父(一次相続)の期間だけで判定します。

 

 経過措置があったり、用語の意味が違ったりとちょっとややこしいですが、軽減としては大きいので適用まちがいのないよう注意しましょう。