軽減税率と簡易課税 ②

posted by 2019.03.29

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 昨日の続きで簡易課税軽減税率との関わりについて見ていきます。

 簡易課税制度とは、中小企業(2年前の売上が5000万円以下)の事務負担を軽減するための制度で、売上に係る消費税から一定率を控除して消費税を計算する方法です。
 一定率は業種ごとに決まっていて、売上時に預かる消費税は同じでも、控除できる消費税が、例えば製造業では70%、飲食業では60%と異なります。
そのため、フードコートでの飲食がどちらにあたるかという議論は軽減税率導入前からあったのですが、それほど厳密な定義がなく、「自己で飲食設備等を有するかどうか」を主な基準にしていました。

 

 軽減税率導入で外食(10%)か持ち帰り(8%)の区分が厳格になるため、簡易課税を検討する上での飲食業(4種60%)か製造業(3種70%)かの区分も従来より厳格になります。
その上で原則課税と簡易課税のどちらが有利を判断することになりますが、いかんせんややこしいので届出の特例が設けられています。

 

 簡易課税を採用する場合は、本来はその事業年度開始前(前期末)までに届出を出しておく必要があるのですが、システム面の整備や有利不利の判定などを踏まえて軽減税率導入時の特例として進行年度中の届出も認められます。

 具体的には,2019年10月1日から2020年9月30日までの日の属する課税期間において、決算期末までに「簡易課税制度選択届出書」を提出した場合にはその期から簡易課税を適用できます。
この特例は軽減税率導入度1年間限定の措置なので、その後は元に戻ってその事業年度開始前までに届出をする必要があります。

 

 なお、簡易課税をやめる場合の「簡易課税制度選択不適用届出書」に関してはなぜか軽減税率導入時の特例はありませんので、従来通りその事業年度開始前までに提出する必要があります。