後継者がいない企業は全体の半数に上るという調査結果があり、中小企業においてその傾向はより強くなっています。
後継者不在により廃業が増加すると、22兆円ものGDPの消失、大規模な雇用の喪失、技術やノウハウの断絶といったことが起こると予想され、大きな社会問題と言えます。
国としても様々な支援策を準備しており、民間においてもM&Aビジネスが活発化していることから、後継者不在率は少しずつ改善しています。
先日の日経新聞に興味深い取り組みが載っていました。
野村HDを中心とする5社がファンドを起ち上げ、中小企業における従業員承継を支援するというものです。
従業員が事業承継する場合、オーナーから株式を買い取る必要があり、その資金負担が重荷になっていました。
その資金負担をファンドの仕組みで減らし、円滑な事業承継を後押しするのが狙いです。
ファンドでは次のような仕組みが想定されています。
① ファンドがオーナーから株を買い取り
② 企業は後継者にストックオプションを付与
③ 企業は10年以上かけてファンドから自社株を買戻し
④ 後継者がストックオプションを行使して株式を取得
ストックオプションは、新株を事前に定めた価格で買い取れる権利であるため、10~20年後に普通に株式を買い取る場合に比べて資金負担を少なくすることができます。
ファンドは株を持っている期間の配当と企業への株売却で利益を得ることになります。
ファンドの規模は100億円程度で10社程度との取引を想定しているため、件数は限られますが、同様の仕組みが拡がれば事業承継の1つの解決策となっていくかも知れません。
事業承継の手段としては、親族承継、従業員承継、M&A、外部招聘などがありますが、親族承継が低下傾向にあるのに対し、従業員承継は増加傾向にあり、割合では親族承継を上回っています。
従業員承継の方法について上記のファンド以外にどのようなものがあるか、次回以降見ていきます。


