前回まで退職金に関して受け取る側の取扱いを見てきましたが、今回は逆に支払う企業側の取扱いを見ていきます。
税務上どう扱われるのかという理屈の話と退職金の支払いにどう備えていくのかという資金の話との両面について確認します。
1.税務上の取扱い
① 退職金
<従業員>
・退職の事実+退職金額の確定=損金算入(経費)
・上記要件を満たせば決算時に未払でもOK
<役員>
・原則:株主総会の決議等によって退職金額が確定した事業年度に損金算入
・例外:支払った事業年度に損金算入
・原則の場合、決算時に未払でもOK
・役員昇格や分掌変更(代取→平取など)の場合などイレギュラーなケースは未払では損金算入できず、実際に支払う必要あり
② 退職給与引当金
・平成14年に廃止
・見積もり計上で確定していないため、経費として認められず
③ 退職給付引当金
・会計上退職金の支払予定額を見積もって引き当て
・非上場企業では必須ではありませんが、上場企業では株主や債権者に正確な債務を伝えるため必須です。
・税務上は損金にならないため、経費計上した上で法人税の別表で加算します(法人税が前払いとして発生)。
・実際に退職金の支払いがあった場合には積み立てた退職給付引当金を取り崩すと共に損金算入します。
退職金に備えていくことが全く経費にならないかというとそうではなく例外もあるので、資金面の話と合わせて次回確認します。