昨日の続きでイデコを年金方式で受け取った場合の課税関係について見ていきます。
年金には公的なものと私的なものとがありますが、税金の取扱いを基準にすると「公的年金等」と「それ以外」に分かれます。
「公的年金等」とは、基礎年金、厚生年金、国民年金基金、厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金などを言い、イデコも確定拠出年金に含まれます。
「それ以外」は民間の生保等で契約する個人年金のことを言います。
1「それ以外」の課税関係
<算式>
・総収入金額-必要経費=雑所得
その年に受け取った年金に対応する払込保険料を必要経費として控除します。
<源泉徴収>
計算した雑所得の金額が25万円以上であれば、10.21%の所得税が源泉徴収されます。
<確定申告>
収入が給料や公的年金等のみで通常確定申告をする必要のない方は、個人年金等の雑所得が20万円以下であれば所得税の申告義務はありません。
2「公的年金等」の課税関係
<算式>
・収入金額-公的年金等控除額=雑所得
公的年金等控除額は年金額と年齢によって決まりますが、今年から大幅に改正されています。
改正の内容としては高所得者の優遇枠の縮小です。
≪従来≫
最低額として、65歳未満で70万円(年金で130万円未満)、65歳以上で120万円(年金で330万円未満)の控除があり、この金額以下であれば非課税です。
この金額以上であれば収入金額に応じて5~25%の控除があり、上限はありません。
≪改正≫
① 公的年金等以外の合計所得金額が1000万円以下
最低額は65歳未満で60万円(年金で130万円未満)、65歳以上で110万円(年金で330万円未満)。
この金額以上であれば収入金額に応じて5~25%の控除があり、上限が195.5万円。
② 公的年金等以外の合計所得金額が1000万円超2000万円未満
最低額は65歳未満で50万円(年金で130万円未満)、65歳以上で100万円(年金で330万円未満)。
この金額以上であれば収入金額に応じて5~25%の控除があり、上限が185.5万円。
③ 公的年金等以外の合計所得金額が2000万円超
最低額は65歳未満で40万円(年金で130万円未満)、65歳以上で90万円(年金で330万円未満)。
この金額以上であれば収入金額に応じて5~25%の控除があり、上限が175.5万円。
①の最低額が10万円削られているように見えますが、これは基礎控除が10万円増えたことによるものなので、両方合わせると従来と控除額は変わらず増税ではありません。
<源泉徴収>
公的年金等控除額の月割額、基礎控除、配偶者控除などを控除した残額に5.105%を掛けて計算されます。
配偶者控除や扶養控除は事前に申告しておかないと控除はなく、多めに源泉徴収されます。
<確定申告>
収入が公的年金等のみで年間400万円以下であれば申告義務はありません。
イデコも公的年金等の一種であるため、一般の生保の個人年金よりは優遇されていますが、税金がかからないわけではありません。
他の公的年金との合算で控除額が決まります。
イデコを一時金、年金、その組み合わせのどれで受け取るかは、他の収入がいつまでいくらあるかという生活面、退職所得控除や公的年金等控除などの優遇規定をいかに活用するかという税金面とを考慮して決めていくことになります。