税務調査の場面で「期ズレ」という言葉を使うことがあります。
これはその名の通り「期がずれる」つまり売上や経費を計上すべき時期が本来とずれていることを言います。
この期ズレには2つのパターンがあり、1つは利益を圧縮するため、もう1つは利益を増やすためのものです。それぞれの内容と論点について見ていきます。
<利益を圧縮するための期ズレ>
① 手法
・売上の先送り
・経費の前倒し
② 税務上の論点
・売上の先送り
入金時期をずらして翌期にまわしたり、工事の進捗度合を少なめに見積もっているような場合は売上のもれを指摘されます。
・経費の前倒し
翌期の経費をまとめて先払いして今期の経費にしたり、在庫を少なくして原価を多くしている場合は経費を否認されます。
③ 調査対応
・売上の先送り
意図的な先送りは別として何らかの事情で売上が確定しないケースもあります。
今期に計上できない理由を説明できるようにしておきましょう。
・経費の前倒し
経費の前払いであっても家賃など1年以内の短期前払費用に該当する場合は税務上経費にして問題ありません。
また期末ギリギリに導入した設備やまとめ買いした消耗品などは使用状況を説明できるようにしておきましょう。
なお調査で期ズレを指摘されるのは調査の最終年度だけです。
と言うのも3年前と2年前がずれていたところでどっちに入るかだけで修正してもほぼ影響がないためです。
一方、進行年度はまだ申告をしていないため、最終年度の期ズレが出てくれば一旦は追徴税額を払わなければなりません。
そのことからも調査では最終年度を重点的にチェックしています。
次回は逆のパターンで利益を増やすための期ズレを見ていきます。