シャープの資本金

posted by 2015.05.13

 シャープが資本金を1億円に減資するというニュースがありましたが、批判を考慮し、断念したようです。
中小企業の優遇税制を大企業が意図的に活用する点を政府が問題視しているとか。
一民間企業の経済行動に政府が口出しする方にこそ違和感を感じますがそれはそれとして資本金を1億円以下にするメリットについておさらいしておきます。

 

1億円を境に次のような違いがあります。

1.法人税率が低い

中小:800万円以下の部分は15%
大 :一律25.5%

2.交際費の損金不算入割合

中小:800万円まで経費になる
大 :全額経費にならず。ただし他社との飲食費であれば半分経費に

3.少額減価償却資産の損金算入

中小:30万円未満の投資が経費になる(合計300万円まで)
大 :適用なし

4.同族会社の留保金課税がない

中小:適用なし
大 :利益を内部留保した場合に法人税が追加で10~20%かかる

5.法人税の繰戻し還付が使える

中小:前期黒字、今期赤字なら前期の法人税を取り返せる
大 :適用なし

6.各種特別償却・税額控除が使える

中小:中小企業投資促進税制、人材投資促進税制などほとんどが中小限定
大 :適用なし

7.貸倒引当金の法定繰入ができる

中小:貸倒れ実績なしで法定繰入率で経費化できる
大 :貸倒れ実績に対応する分しか引き当てできない

8.法人住民税の均等割が低い

中小:大阪府・大阪市・50人以下で20.5万円
大 :大阪府・大阪市・50人以下で42万円、50人超で66万円

9.調査の管轄が変わる

中小:税務署が調査に来ます
大 :国税局が調査に来ます。厳しいです。

10.事業税の外形標準課税がかからない

中小:適用なし
大 :赤字でもかかる事業税の外形標準課税がある。

 

 シャープの場合は10の影響が一番大きいと思われます。
資本金は1億円は断念して5億円にするようなので外形標準課税は引き続きかかりますが、現状に比べるとかなり負担は減ります。
外形標準課税は、①資本割 ②付加価値割 ③所得割 の3つで計算されます。
現状は資本金1200億円に対して約2.5億円の資本割がかかりますが、これが105万円になります。