青色欠損金の控除制限

posted by 2015.05.14

 赤字が出た場合、9年間繰り越して翌年以降の黒字と相殺することができます。
この青色欠損金の繰越控除ですが大企業と中小企業で取扱いが違います。
大企業の場合、黒字から控除できる欠損金が80%に制限されています。

 

例 : 今期1億円の赤字 来期以降1500万円の黒字

<中小企業>

来期以降 利益1500万▲控除1500万=所得0 ∴法人税0

<大企業>

来期以降 利益1500万▲控除1500万✕80%=所得300万 ∴法人税120万

 

 大企業の場合、赤字を消化している段階でも20%部分には法人税がかかることになります。
消化のペースが落ちる分、繰越できる期間が以前の7年から9年に延長されています。

 元々この規定ができたのは銀行など多額の赤字を出した会社、場合によっては税金で救済された会社がその後何年もまったく法人税を払っていないのはいかがなものかという議論からです。

 

 なおここでいう「大企業」とは資本金1億円超の会社と資本金5億円以上の会社の100%子会社のことを言います。
昨日の記事のシャープも資本金を1億円にすれば欠損金の控除制限から免れることができたのですが…。

 

 さらに80%の制限は今後厳しくなります。
平成27年4月1日開始事業年度から65%、平成29年4月1日開始事業年から50%に縮小される予定です。
1年当たりで使える欠損金が減るため控除期間は10年に延長されます。
なお中小企業は変わらず100%控除が可能です。

 

 青色欠損金の繰越控除で法人税を払わなくていい期間は会社を立て直して体力をつけるのにいい時期なのですが50%に制限されるというのは中々厳しいものがあります。