不定期連載 関根稔先生の「税理士のための百箇条」を読み解きます。
第19条 6親等の親族
「親族」とは、6親等以内の血族と、3親等以内の姻族と、あとは配偶者。
昔の研修会で講師の先生が、「6親等の親戚の名前を言えますか?私は無理です。」と言ってました。従兄弟でも4親等ですから、6親等といえばさらに遠くなります。私も6親等の名前なんて分かりません。
「親族」の定義は民法で定められていますが、関根先生曰く、民法上の争いで6親等の意義や範囲が議論されることは皆無、だそうです。しかし税金の世界では、時として大きな意味を持ちます。
父親が時価1億円の土地をもっているとします。
相続税を払うのが嫌だから、これを息子に1千万円で売ることにしました。土地は息子のものになりますし、父親の財産は1億円の土地が1千万円の現金に変わる訳ですから、9千万円も減ります。すばらしい相続対策!
と言いたいところですが、これはアウトです。この場合、父親から息子へ9千万円の贈与があったものとされます。
ちょっと極端な例ですが、身内同士の取引を無制限に認めると、こんなことをやる人が必ず出てきます。そこで税法では、身内同士の取引に何かと制限を設けてます。
しかし、この「身内」の範囲が問題です。大抵の場合、民法で定める「親族」をそのまま使いますが、そうなると名前も知らない6親等まで含まれてしまいます。
同族会社の株式なんて2、3回相続が続けば親戚中に散らばります。株主名簿を見ても「この人、誰?」なんてことがありますし、そうなると6親等以内かどうかさえ分かりません。
最高裁で、非嫡出子の相続分について定めた民法の規定が憲法違反だとされました。親族の範囲も、もう少し狭くしてくれたらいいのに。