『なぜあの会社は儲かるのか』④

posted by 2013.07.11

真の顧客は誰なのか 

 例えば子供服を売っているお店にとって、「顧客」とは誰のことでしょうか。
使うのは子供ですが、選ぶのは母親であることも多いでしょう。
お金を払うのは祖父母かもしれません。子供(ユーザー)、母親(バイヤー)、祖父母(ペイヤー)、この中で「真の顧客」は誰なのかを考えることは非常に重要です。 

 

 病院にとっての顧客は、普通に考えれば「患者」です。
しかし高齢者専門の青梅慶友病院では、顧客を「患者とその家族」と定義しています。
理由は3つ。

 
第1に、高齢者がどこの病院に入院するかを決めるのは、本人よりもその家族であること。

第2に、認知症の高齢者の場合、本人よりも介護する家族の方が困っていること。

第3に、病院というのは広告宣伝が禁じられており、評判を広めるには口コミが効果的だが、口コミを広めてくれるのは認知症の患者ではなくその家族であること。

 
患者だけでなく、その家族の利便性を高めることで、青梅慶友病院は高い顧客満足度を維持しています。 

 

 介護用ベッドのレンタルを始めたフランスベッド
きっかけは、顧客から購入後3カ月で不要となった介護用ベッドの下取りを相談されたことです。 
サービスを始めた当初は、「レンタルで済ますということは、わしの余命は短いのか」と、利用者に不興を買うことが多かったそうです。
そこで、貸し出す前に塗装し直すなどして、一見して中古だと分からないようにしました。 
その結果、ユーザーには新品感、バイヤー(ペイヤー)には割安感を訴求することに成功しました。 

 

 これまで紹介した以外にも、ブリヂストンやスルガ銀行、楽天バスサービスなど、面白い事例が盛りだくさんです。興味のある方はぜひとも本書をお読み下さい。