消費税の経過措置 ⑥ 個別項目後編

posted by 2019.01.16

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 昨日の続きで消費税の8%経過措置の個別項目を見ていきます。

 

5.長期大規模工事

<概要>
 2019.3.31までに契約したマンションなどが8%になる経過措置は以前に解説しましたが、4/1~9/30までの契約についても経過措置があります。工事原価を9/30以前と10/1以後に区分して、9/30までの工事原価に対応する売上げは8%になります。

<要件>
・4/1~9/30に契約、引渡しは10/1以後。
・経過措置を受けていることを相手方に書面で通知。

 

6.旅費や入場料

<概要>
 電車や飛行機の運賃、映画やスポーツの入場料については9/30までに支払っていれば、使う日が10/1以後になっても8%になります。
電車の回数券や球場の年間シートについても適用があります。

<要件>
・9/30までに支払い。
・乗車や入場が10/1以後。

 

7.光熱費等

<概要>
 10/1をまたがる光熱費等については、請求が10/31までに確定したものは8%になります。
ただしネットの利用料など定額で契約しているものは経過措置の対象外です。

<要件>
・9/30以前から継続供給される電気、ガス、水道、電話代など。
請求額が10/1~10/31までに確定(支払ではない)。
・電力会社等が不特定多数の人へ供給する契約(貸しビルオーナーが入居者から徴収する光熱費は不特定多数ではないので経過措置の対象外)

 

8.短期前払費用

<概要>
 家賃や保守料などを年払いした場合、法人税では継続処理を要件に支払った年に経費になりますが、消費税はあくまでサービスの提供時期と対応させるため、8%と10%とに区分する必要があります。

<会計処理>(9月決算の場合)
①  仮払金方式
 10/1以後に対応する消費税を「仮払金」として繰り越して、翌期に10%で控除する方法

② 仕入返還方式
 9/30までに支払った段階で一旦全額8%で控除し、翌期に値引き処理で取り消して改めて10%で控除する方法。

 

 8の短期前払費用は「先に払ったのだから全額8%」と考えがちですが、サービス提供時期で判断するため、10/1分の消費税を10%で再計算することになります。
金額を8%のままで年払いした場合であっても理屈では10%なので、結果的に本体部分の値引きを受けたことになります。

 

 経過措置は3/31と9/30のどちらで判定するのか難しいところがありますが、国税庁のQ&Aなども見ながら1つずつ確認していきましょう。