のれんの会計処理

posted by 2018.11.7

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  「のれん」と言うと居酒屋をイメージしたりしますが、会計上はれっきとした専門用語です。

 「のれん」とは企業を買収した際に買収価額が純資産を上回る場合のプレミアム部分を言います。
その中身はと言うと無形資産である信用、ブランドイメージ、顧客など超過収益力となるもので構成されています。

 のれんの会計処理については日本と欧米で考え方が異なります。

 

<日本>

時の経過により価値が減るため、価値の持続期間(20年以内)で規則的に強制償却

<欧米>

償却期間の合理的な算定が難しいため、償却は禁止されており、資産のまま残して価値が下落した時に減損処理。

 

 考え方としてはどちらもありなので両方使われてきましたが、欧米でも償却することが検討されています。
というのも減損処理を行う場合、突然巨額損失が計上されることがあり、投資家にとっては予測しづらい面があるためです。
減損処理は計算が複雑で判断にも幅があるため、なるべく業績を良く見せるにはギリギリまで減損処理しないこともあり得ます。

 

 欧州で採用が多い国際会計基準を作るIASB米国会計基準を作るFASBの双方で償却について議論されていますが、企業会計への影響は大きそうです。

のれんの金額が大きい企業としてはアメリカでAT&T 11.8兆円、GE9.4兆円、日本企業ではソフトバンクの4.3兆円、JTの1.9兆円などがあります。
いずれもM&Aで成長してきた企業だけに、償却することで利益が減少すれば景気全体への影響もあるので議論には紆余曲折がありそうです。

 上場株式を買う際にはどの会計基準を採用しているのか、のれんはどれぐらい計上されているのかということにも注目してみて下さい。

 

 なお税務上「のれん」は「営業権」として5年の定額法で償却します。
会計に比べると早めに経費になります。