法の不知はこれを許さず

posted by 2026.03.19

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 先日テレビを観てると「離婚の財産分与で多額の譲渡税」という内容を取り上げていました(日テレ系「ザ!・世界仰天ニュース」)。
離婚の税金に関してよく出てくるテーマです。

 

 再現ドラマはこんな内容でした。

① 夫の不貞が原因で離婚が成立
② 離婚協議書を作成。時価8億円の自宅を妻へ財産分与
③ 夫に譲渡所得税が2億円かかると上司から知らされる
④ 夫は離婚協議書の無効を主張して提訴

「そりゃ無理でしょ」と思いながら観ていると、案の定、一審、二審とも夫の敗訴。
ところが最高裁でひっくり返って、差し戻し審では夫の全面勝訴。
離婚協議書は無効になり、2億円の税金は無くなったというストーリーでした。

 

 裁判の中で、夫は税金がかかるとは知らなかった、知っていたら自宅を財産分与していなかった」という主張をしています。
取引の重要な部分に勘違い(錯誤)があり、それを相手に明示していれば理論上は取り消せる可能性があります。
また今回の事例では妻も税金がかかるとは知らず、双方が勘違いしていたため、認められたという事情もあったようです。

 テレビ的に面白おかしく編集している部分もあり、実際に錯誤が認められるかというとかなり高いハードルがあります。
それを認めれれば何でもなかったことにできてしまうためです。

 

 「法の不知はこれを許さず」というローマ法に起源を持つ諺があります。
刑法38条3項においても「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる」とされています。
民法や税法にはそういった規定はありませんが、だからと言って「知らなければ許される」というわけではありません。

 

 ということで、大事な決断をする場合は、法律や税金などいろんな面を考慮して、時には専門家の手も借りながら慎重に進めるようにしましょう。