お客様から「こんなん思いついたけどできる?」という質問を受けることがあります。
プロではないだけにかえって発想が斬新で驚かされます。
ものすごい節税になるようなアイデアもありますが、得てしてうますぎる話はないので出来ない場合はその理由もちゃんとあります。
既に誰かがチャレンジしている場合、判例もありますのでそれも交えつつ、『斬新な節税?シリーズ』として不定期連載で書いていきます。
第1回 低額譲渡
Q.おじいちゃんの1億の土地を孫に1000万円で売ったら9000万円の節税?合意による契約でお金もちゃんと払ってるし。
A.低額譲渡にあたると差額に贈与税がかかります。
<解説>
時価に比べて著しく低い金額で土地を譲り受けると、孫は時価との差額分、得したことになるので贈与に該当します。
9000万円に対する贈与税は何と4220万円! ここで問題になってくるのは”時価”
裁判になった場合、鑑定評価を取って時価を絞り込んでいきますが、そうでない場合の時価は何が適正なのでしょう。
H19.8.27東京地裁の判例で、路線価相当での売却を認めた例があります。
路線価は公示価額(時価)の8割程度なので2割分低いのですがこれは”著しく低い価額”とは判定されませんでした。
実際には公示価額より時価が高いこともありますが、公示価額も路線価も役所が出している”時価”なのでそれを信じて取引した以上認めざるを得なかったものと思われます。
他にもその土地特有の状況はあったはずなので「2割程度なら必ずOK」という話ではありませんが一つの目安とお考え下さい。
なおこの例は身内での売買でしたが第3者との売買であれば時価の1/2未満であれば”著しく低い価額”での譲渡とされます。
第3者との合意であるため、税金を安くしようという意図もないはずで、基準は緩めになっています。
土地は千差万別、売却の状況も様々なので絶対的な時価はありません。
売り急いでいる、隣だからどうしても買いたい、維持するのが大変なので手放したいなど個別事情もあります。
答えが一つでないだけに慎重に判断しなければならない反面、工夫の余地があるとも言えます。