最近、経費精算のインボイスについてよく聞かれます。
請求書をもらって振り込む場合や経理部門で支払って領収書をもらう取引はその際にインボイスの有無を確認すれば処理はできます。
一方、従業員の方が経費精算をする場合は領収書も山ほどあるし、支払先もその都度違うかも知れないし、1個1個全部確認してたらものすごい労力になってしまいます。
それなら従業員の方にやってもらおうとなると、インボイスの仕組みをみんなに理解してもらわなければならず、これまた大変です。
一体どこまでやればいいのでしょうか?
教科書的には「インボイスがあることを確認できないと消費税は控除できません」ということになるんですが、現実的には「可能な範囲でやって下さい」とお伝えしています。
まず前提としてインボイスが要らない取引もあります。
経費精算の関係で言うと、「従業員に対して実費精算または定額支給した交通費や宿泊費(金額要件なし※)」についてはインボイスがなくても消費税を控除できます。
旅費の精算が多いと思いますので、この出張旅費特例でだいたいは対応できますが、細かい消耗品や雑費などはインボイスが必要ということになります。
ただ精算額も少額でしょうし、交通費がこれだけ緩いなら消耗品や雑費もそこまで厳しく言われないような気もします。
インボイスのない時代でも、本当に必要な精算なのか、領収書がついてて金額が合っているかという点はチェックしていたはずなのでまずはそのレベルでスタートしてもいいように思います。
税務署もマンパワーが急に増えるわけではないのでそこまでチェックできないでしょうし。
インボイスどうしよう…と頭を抱えている方も多いと思いますので、今回は税理士の立場で「かくあるべし!」というよりは本音の部分で書いてみました。
※従業員との精算でない場合
会社が直接切符を購入した場合や法人のクレジットカードで支払った場合は別の特例で対応します。
次の取引についてはインボイスなしで帳簿に記載するだけで控除できます。
・税込3万円未満の公共交通機関(電車、バス、船舶はOK、飛行機、タクシーはNG)
・税込3万円未満の自販機や券売機での購入
・切手 等
★中の人研修につき、来週は「あさびじ」をお休みします(2012年6月の連載開始以来初の平日休載です)。