教育資金贈与の改正 ②

posted by 2023.01.27

school_shiken_kaijou_boy_girl

 前回の続きで教育資金贈与の改正について時系列で見ていきます。

 

2.改正の経緯

① 2015年4月~

・教育資金に通学定期代、留学渡航費、入学や転入のために転居が必要になった時の交通費を追加

 

② 2019年4月~

・子や孫の前年の合計所得金額が1000万円超で対象外

・相続前3年以内の教育資金贈与の残額を相続財産に加算。ただし23歳未満や学校在学中なら加算不要

 

③ 2019年7月~

・料理や英語など23歳以上の習い事は教育資金の対象外

 

④ 2021年4月~

相続前3年以内に関わらず教育資金贈与の残額は相続財産に加算。ただし23歳未満や学校在学中なら加算不要

・相続人でない孫への贈与は2割加算の対象

 

⑤ 2023年4月~(予定)

・相続財産が5億円超なら教育資金贈与の残額は23歳未満や学校在学中でも加算

・子や孫が30歳になった場合等には贈与税が課されますが、その際の税率を特例税率から一般税率へ変更

 贈与税の税率は父母や祖父母から18歳以上の子や孫への贈与の場合、世代間の財産移転を促すために軽減されています。
300万円超の贈与から軽減があり、500万円の贈与であれば、贈与税は一般で53万円、特例で48.5万円となり、贈与額が大きいほど差は大きくなります。
今回の改正で教育資金贈与の残額に関しては、直系尊属からの贈与にかかわらず特例税率が使えなくなります。

 

 2013年の導入当初は使い残しても相続税での加算が全くなく、上限の1500万円の贈与が多用され、契約数も大幅に伸びていました。
ただ節税利用が目に余ることから2019年に相続税の課税対象に含まれるようになり、その後も少しずつ節税メリットが縮小している状況です。

 最新の改正でも使い残しへの税率も上がることから、元々教育資金贈与の利用を検討していた場合は3月までに実行した方が良さそうです。