法人税の申告事績

posted by 2021.11.5

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 国税庁から令和2事務年度の法人税等の申告事績が公開されていました。

 令和2事務年度というのは、令和2年4月1日~令和3年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について令和3年7月31日までに申告があったものを集計しています。
例年と違うのはコロナによる申告期限の延長の影響です。
本来、令和元年度に入るべきものが申告期限の延長により1年ずれ込んで令和2年度に一部含まれています。

 

1.法人税

① 法人数

法人数 :316万社 ⇒322万社(前年比+1.7%、9年連続増加)
申告件数:294万件 ⇒301万件(+2.0%)

② 所得と税額

申告所得:65.0兆円⇒70.1兆円(+7.9%)
申告税額:11.5兆円⇒12.1兆円(+4.9%)

③ 黒字

黒字割合:35.3% ⇒35.0%(▲0.3P)
1件当たり黒字:6238万円⇒6662万円(+6.8%)

④ 赤字

欠損金 :14.8兆円⇒23.7兆円(+60.1%)
1件当たり欠損:776万円⇒1212万円(+56.1%)

⑤ まとめ

令和2事務年度は2度の緊急事態宣言を含んでおり、厳しい決算となる会社も多かったですが、全体としては所得は増加しています。
巣ごもり需要により小売業が好調で、海外の景気回復で輸出を伴う製造業の業績が回復していることも要因としてあります。
また持続化給付金(法人個人合わせて5.5兆円)など各種給付金により所得が押し上げられている面もあります。
一方、飲食や旅行関連などコロナの影響をもろに受けた業種もあることから欠損金額も増加しており、業績は二極化していると言えます。

 

2.源泉所得税額

① 給与:11.4兆円⇒11.3兆円(▲0.7%)

② 配当: 5.1兆円⇒ 4.8兆円(▲6.3%)

③ 上場株の譲渡:3020億円⇒5420億円(+79.5%)

 結果として法人としての業績は好調ですが先行きを慎重に見ていることから、給与や配当としての還元は少なくなっています。
一方、特定口座内の上場株式については、上昇局面であったことから売買は活発で大幅に増加しています。

 

 上場企業の決算予測から考えると令和3事務年度も所得が増加すると予想されるので、コロナ収束とともに給料や配当での還元増加を期待したいところです。