電子帳簿保存法の改正 ④ 検索機能

posted by 2021.11.4

ai_study_kikaigakusyu

 前回の続きで電子帳簿保存法の改正について見ていきます。
今回は「検索機能の確保」は実際どうやるのか?という点です。

 

 電子データはただ残せばいいわけではなく、次の検索条件を満たす必要があります。

・日付、金額、取引先ごとに検索できる
・日付や金額の範囲指定
・2以上の任意の項目を組み合わせて検索できる

 

 これをクリアするための方法としては3つ考えられます。

① システムの導入
② ファイル名に情報を盛り込んで1か所に集める
③ ファイルに連番を付して、エクセルの一覧表で管理する

 

① システムの導入

 受け取ったデータを一元管理し、検索できる状態にするソフトやサービスが各社から提供されています。
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)のサイトで要件を満たすソフトが公開されています。
経費精算システムやデータ保存のクラウドサービスを提供する会社など11月1日現在で15本が認証を受けていますが、ここに載っていなくても要件を満たすソフトはあります。

 仕組みとしては、受け取った電子データをAI、OCR、人力で読み取って分類していきます。
OCRとは文字をスキャンしてデータに変換する仕組みで、読み取りの精度が課題ですが、社内であれば目で見て確認、外注するのであれば入力オペレーターがフォローすることになります。
料金については経費精算、電子サイン、クラウド保存、タイムスタンプなど様々な機能とセットになっているものが多く比較が難しいので、見積もりを取って自社に必要なものを見極めていくしかなさそうです。
検索してみると、自社入力で月額2,000円、オペレーター入力だと月額1万円でデータ料に応じて追加課金というクラウドサービスもありました。

 

② ファイル名に情報を盛り込んで1か所に集める

 受け取ったPDFを保存する際に「20220201_株式会社〇〇商事_11,000」というような名前を付けて、日付、取引先、金額で検索できるようにしておきます。
その都度やればさほど難易度は高くありませんが、量が増えてくるとこの作業だけで相当時間を取られることになります。

 

③ ファイルに連番を付して、エクセルの一覧表で管理する

 ②の方法は手間がかかるので、ファイル名には連番だけ付して、別にエクセルの一覧表を作って管理します。
エクセルの一覧表には「連番、日付、金額、取引先、種類など」の情報を入れます。
これも難易度は高くありませんが手間はかかります。

 

 で、改正まであと2ヶ月しかないのに一体どうすればいいのか?

 電子データが少ないうちは、②のファイル名方式で対応しておいて、他の業務との兼ね合いも考慮して、①のシステム導入を検討していくのが現実的な対応と考えます。
経費精算、データ保管、電子帳簿など業務プロセスの改善を検討する際に改正に対応したシステムを採用すれば十分かと思います。

 

 正しく電子データを保存できていないと、経費否認や青色申告の取り消しなど怖い文言が並びますが、現場の税務調査官に聞いてもいきなりそこまで厳しくはないようです。
改正当初は紙で打ち出したもので説明できれば実務的には問題ないでしょう。

 

 改正だからと慌てて高額なソフトを契約せずに、自社に合うものをしっかり見極めていきましょう。