役員の種類 ③ みなし役員

posted by 2021.03.22

kaigi_shinken_businessmen

 前回の続きで税法独自の概念である「みなし役員」について見ていきます。

 

1.定義

 登記上は役員でなくても、経営に対する影響力が強い場合は税務上役員とみなされケースがあります。

① 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります)以外の者で、その法人の経営に従事しているもの

 従業員ではなく経営に従事している人、例えば相談役顧問の肩書きをもって経営に関与している人を言います。

② 同族会社の使用人のうち、次に掲げる全ての要件を満たす者で、その会社の経営に従事しているもの

・50%超の大株主グループ(3位まで)に属している
・10%超の株主グループに属している
・本人(配偶者と50%超保有する別会社含む)の持ち株が5%超

 株を多く持っていればそれだけ発言権が大きく経営に関与できるため、役員とみなされます。

 ①については会社全般を指していますが、②については同族会社に限定されています。
同族会社の場合、従業員にするか役員にするかを含めて自由度が高いのでこのような規定になっています。

 なお②の基準は前回解説した「使用人兼務役員」にも関連していて、②に該当する人は使用人兼務役員になれません。

 

2.判定

 ①の肩書、②の株式については形式的に判定できますが、「経営に従事している」というのはどう判定するのでしょうか。

次のような経営上の重要事項の決定に関与していれば「経営に従事」していると考えられます。
・経営方針の決定(取締役会への参加等)
・資金繰り(借入金での資金調達等)
・人事関係(採用、給料賞与の決定、労務管理等)
・契約関係(重要な契約締結、取引先選定等)

 逆に身内であっても仕事の内容が次のような範囲に留まれば「経営に従事」とまでは言えないことになります。
・経理業務
・販売、仕入、製造などの実務責任者(方針の指示は経営陣からある前提)

 

3.影響

 役員とみなされると、給与は定期同額が原則となり、期中変更ができません。
また役員賞与も支給できないので、従業員扱いで支給していて役員とみなされると否認されることになります。

 

 夫婦や親子など近しい関係で、役員にならずに従業員として事業を手伝うこともあると思います。
給料や賞与で否認されることのないよう、従業員としての仕事内容をしっかり説明できるようにしておきましょう。