役員の種類 ②税務編

posted by 2021.03.19

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 前回の続きで役員の種類によって税金の取扱いがどう変わるかを見ていきます。

1.代表権の有無

 代表取締役は最も責任を負うポストであるため、他の取締役に比べて役員報酬を多く出しやすい傾向があります。
逆に代表取締役より取締役の役員報酬の方が極端に多い場合、取締役が過大報酬ではないかと指摘を受ける可能性があるため、金額の合理性を説明できるようにしておく必要があります。

 また代表権を外すタイミングは、役員報酬半減などの要件を満たせば退職扱いになり、退職金を支給することが可能です。

 

2.常勤と非常勤

 月に1.2回会議に出るだけというようなケースは「非常勤役員」に該当します。
当然常勤役員」に比べると役員報酬や退職金は少なくなるはずなので、アンバランスに金額が多いと税務調査で指摘を受けることになります。
特に同族会社の場合、役員報酬に値する働きがあるのかどうか説明できるようにしておく必要があり、役員会の議事録などもきっちり作っておいた方がいいでしょう。

 

3.使用人兼務役員

 税法独自の概念で「役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者」を言います
例えば、営業部長としての実務もする取締役などが該当します。

特徴としては役員であるにも関わらず従業員と同じように賞与を支給できる点があります。
その前提として給料を役員部分と従業員部分に分けておく必要があり、役員部分については取締役会や株主総会での決定事項となります。
なお、従業員部分の給料については雇用保険に加入することもできます。

 使い勝手のいい使用人兼務役員ですがなれない人もいます。
代表取締役、副社長、専務、常務など経営の中枢にある人はなれません。
また大株主グループに属する場合等も事実上経営の中枢にいることになるので使用人兼務役員にはなれません。

 

 税法独自の概念として「みなし役員」というものもありますが、長くなるので次回へ続きます。