クラウドファンディングの会計と税金

posted by 2021.01.15

2341661_s

 昨日の続きでクラウドファンディングの会計と税金について見ていきます。
6つのタイプを紹介しましたが、よく使われる『購入型』『寄付型』の処理を確認します。

 

1.購入型
① 募集側
<会計>
 応援という要素はあるものの実際にモノやサービスを販売しているので、通常と同じように『売上げ』として処理します。
食事券などの金券を販売した場合には、販売時には『前受金』として処理し、金券が使用された段階で『売上げ』に振り替えます。
もし金券が使われないまま、有効期限が切れた場合にはその段階で『雑収入』として収益計上します。

<税金>
 売上げから開発費、人件費、プラットフォーム事業者への手数料などを差し引いて残った利益に対して法人税(個人であれば所得税が課税されます。
消費税についても通常と同様に課税売上げになります。

② 支援側
 一般消費者は特に会計処理も税金も当然ありません
個人事業者や法人については、通常のモノやサービスの購入と同じように処理して経費化します。

 

2.寄付型

 募集側及び支援側が個人か法人かによって税務の扱いが変わってきます。

① 個人→個人
<会計>
 個人から個人への寄附は贈与になるため、募集側、支援側とも会計上の処理は特にありません。

<税金>
 110万円の非課税枠を超える場合は贈与税が課税され、募集側で申告が必要です。

 

② 法人→個人
<会計>
 支援側の法人は「寄付金」で処理し、募集側の個人は所得税の一時所得として集計します。

<税金>
 支援側は寄付金の限度額の範囲内で損金になりますが、税制上優遇のある寄付でないため、限度はあまり大きくありません。
・限度額=(資本金×0.25%+所得×2.5%)×1/4

 募集側は一時所得として所得税が課税されます。
・一時所得=総収入金額-支出経費-50万円)×1/2

 

③ 法人→法人
<会計>
 支援側の法人は「寄付金」で処理し、募集側の法人は「受贈益」として雑収入に計上します。

<税金>
 支援側の扱いは②と同様ですが、募集側の法人が公益法人や認定NPO法人に該当する場合は限度額が拡がります
・限度額=(資本金×0.375%+所得×6.25%)×1/2

 募集側は経費を引いた差益に法人税が課税されます。

 

④ 個人→法人
<会計>
 支援側の個人では特に会計処理はありませんが、募集側の法人では「受贈益」として雑収入に計上します。

<税金>
 募集側の法人が公益法人や認定NPO法人である場合には支援側の個人で寄付金控除が使えます。
所得控除と税額控除の有利な方を選べます。所得控除は【寄付金-2000円】税額控除は【(寄付金-2000円)×40%】が限度額です。

 

 寄付型の場合は所得税、法人税、贈与税と3つの税金が絡むのでちょっと複雑です。
今後普及させていくのであれば、税務上の取扱いで優遇するなり、もう少しシンプルにするなりしてもらいたいところです。