年末調整リターンズ2020 ⑧ 子どもは扶養親族?

posted by 2020.11.20

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 年末調整8回目は扶養控除です。

 税法ではよく似た言葉でも意味がちょっとずつ違ったりします。
扶養親族で言うと【扶養親族】【控除対象扶養親族】は別モノで税金の扱いが異なります。

【扶養親族】とは、給与などの所得で扶養されている合計所得金額が48万円以下の子や両親を言います。
その扶養親族のうち、16歳以上の人【控除対象扶養親族】と言われ税金が安くなる対象です。
16歳未満の子はと言うと【扶養親族】ではありますが【控除対象扶養親族】にはなりません。
扶養控除等申告書でも16歳未満の子を区別するために下の方に分けて書くようになっています。

 さらに今年からは【扶養親族等】という表現が申告書に出てきました
所得金額調整控除の要件のところです。
年収850~1000万円の場合、給与所得控除が縮小されて増税となっていますが、以下のような特別障害者がいる世帯と子育て世帯でその増税分が帳消しになります(下3つが扶養親族等)
・本人が特別障害者
・同一生計配偶者が特別障害者
・扶養親族が特別障害者
・扶養親族が23歳未満(平成10年1月2日以後生)

 

 【扶養親族】に戻りますが、昔は年末に生まれた子どもは税金的には親孝行な子だと言われました。
12/31生まれでも、その年から親の税金が安くなったからです。
しかし、平成24年から16歳未満の子は子ども手当が出るからと扶養控除の対象外とされました。
その後、子ども手当は所得制限のある児童手当(5,000円~15,000円)となり、今日に至ります。

 

 夫婦共働き【控除対象扶養親族】がいる場合、夫か妻のどちらか一方でしか控除出来ませんので、より多く稼いでいる方で控除すべき、ということになります。
もっと言えば生計が同一の祖父母がいて、祖父母の所得の方が大きければ祖父母の控除対象扶養親族にする方が税金的には有利になります。
住民票での世帯がどうなっているかと所得税の計算上、誰から控除するかは別の話です。
扶養控除(38万円)でどれだけ税金が安くなるかと言うと、例えば夫の年収が600万円の場合、所得税で7万6千円(税率20%)、住民税3万3千円(税率10%)の合計10万9千円安くなります。

 

 控除額は19歳以上23歳未満の子(大学生の年齢)、70歳以上の両親、その両親と同居などの場合、控除がさらに大きくなります。

①19歳以上23歳未満(特定扶養親族)…63万円

②70歳以上で別居両親(老人扶養親族)…48万円

③70歳以上の同居両親(同居老親等) …58万円

 

 次回は扶養控除以外の人的控除を見ていきます。