通勤手当とは

posted by 2020.06.11

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 コロナ以降テレワークや休業をする会社が増えましたが、通勤していない場合に「通勤手当」はどうなるのでしょうか。

 

 通勤手当は慣習として定着していて、募集の際にも「交通費支給」でないと募集条件として不利な面はありますが、労働基準法など法律上の義務ではありません。
ただ就業規則や給与規定に定めてあると、それは会社と従業員の約束なので支給しなければなりません。

 規定上は、次のような内容が書かれることが多いです。

・最も合理的なルートの定期券の実費額を支給する。
・入退社時、休業欠勤の場合は日割りで支給する。
・自転車や車の場合は〇キロ以上で〇〇円支給する。
・月額〇万円を上限とする。

 法律上の縛りがない以上、規定で定めた内容で支給すれば問題ありません。
テレワークに関しても、出勤日だけ支給するでも1か月分そのまま支給するでも規定に従っていればどちらでも構いません。

 

 一方、税金に関しては会社のルールとは別に判断します。
通勤手当は実費精算の性質があることから所得税が非課税にされていますが、その範囲は「通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの」です。

”通常必要であると認められる部分”とは「通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」を言います。要するに最短最安です。

 コロナの影響で通勤していない場合に通期手当を払うのは”通常必要”ではないとも言えますが、一時的なものであれば非課税のまま支給していても実務上は問題にならないと考えられます。
ただテレワークが原則となった場合には非課税の範囲から外れてきます

 

 定期代で算定できない自転車や車通勤に関しては距離によって月額の非課税の上限が定められています。

・2km未満       :非課税なし
・2km以上10km未満 :4200円
・10km以上15km未満:7100円
・15km以上25km未満:12900円
・25km以上35km未満:18700円
・35km以上45km未満:24400円
・45km以上55km未満:28000円
・55km以上      :31600円

 高速代、ガソリン代など名目はいろいろあると思いますがこの範囲に収まっていれば所得税は非課税となります。

 

 なお社会保険や雇用保険に関しては通勤手当は非課税扱いにならず、手当の一部として保険料が算定されます。

 

 テレワークなど規定作成時に想定していなかった働き方も出てきているので、所得税の非課税も活用しつつ、規定を見直してみてもいいかも知れません。