役員報酬の減額

posted by 2020.05.26

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 コロナによる業績悪化で役員報酬の減額を検討されている会社も多いと思います。

 役員報酬については、利益操作を防ぐ観点から毎月同額であることを条件に経費算入が認められています。
変更する場合は、決算終了後3か月以内に向こう1年間の役員報酬額を決定しますが、次の場合には例外的に期中での変更が認められます。

① 役員の職制上の地位の変更、その役員の職務内容の重大な変更その他これに類する理由(随時改定事由)による給与改定

経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)による給与改定

 

 今回のコロナの場合は②に該当しますが、具体的には次のようなケースです。

〇 売上が減少し、資金繰りも困難になっている。

〇 売上はまだ減少していないが、客観的な状況から、経営改善しなければ今後急激に財務状況が悪化する恐れがある。

〇 利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員報酬を減額せざるを得ない(経営責任、融資交渉、信用確保などの観点)。

× 一時的な資金繰り、業績目標の未達

 

 減額した役員報酬については業績回復すれば戻したいところですが、戻した分に関しては、業績悪化改定事由に該当しないため経費算入できません。
元に戻す場合は決算後3か月以内の期間まで待つ必要があります。

 減額した役員報酬を元に戻せるのは、①の随時改定事由に当てはまる場合に限られます。
これは役職の変更の他に、病気や産休育休などにより職務の執行ができず減額した場合も含まれます。
その後退院して、従前と同様の職務が可能になったことにより元の役員報酬に戻すことは”やむを得ない理由”の一環として経費算入が認めれます。

 業績悪化で減額した役員報酬は期中で戻せないだけに、業績悪化が短期間で済むと予想する場合には、減額せずに一部未払いにしておいて、回復後に資金繰りが落ち着いた段階で未払い分を払い出す方法もあります。

 

 明日にも補正予算が閣議決定して景気刺激策も発表されるようですが、どの程度経済が動き、売上が回復するかは予測が難しいところがあります。
役員報酬の減額改定については、先行きについて保守的に見ておいた方がいいかも知れません。