不動産の買換え制度 ④ 立体買換え

posted by 2019.11.18

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 前回、事業用買換えのうち、主に使われる1号(既成市街地等内から外)と7号(国内長期)について確認しましたが、もう1つ「立体買換え」と呼ばれる制度も使われることがあります。

 

<概要>

 都会の遊休地をデベロッパーに売却して、同じ土地の上に建てたマンションを取得した場合に譲渡益の100%が繰り延べられます。

 

 

<譲渡資産>

・三大都市圏の既成市街地等内にある土地等、建物、構築物

・用途は問わず(事業に使っていない遊休地でもOK

・棚卸資産でない(業者が持つ販売用不動産ではない)

 

<買換資産>

・地上3階以上の中高層建築耐火共同住宅及びその敷地

・床面積の1/2以上が居住用(賃貸マンションもOK)

・取得後1年以内に居住用又は事業用として使用

・最長で譲渡年の翌年から3年以内での取得(要申請)

 

<特徴>

・通常の買換えは譲渡益の80%が繰り延べられますが、立体買換えでは100%繰り延べられます。

・買換資産での「事業」は生計一親族の事業用でもOK(例:建て替えたマンションの1階で息子が歯医者を開業)

・買換資産での「事業」は1室のみなど規模の小さいものでもOK

・買換資産での「居住」は親族もOK

 

<留意点>

・土地を売って、上に建ったマンションのうち売値に相当する建物を取得するので「等価交換方式」とも呼ばれますが、差額調整のためにお金を受け取った場合には、その交換差金分には通常の譲渡所得課税があります。

・個人と法人では買換え制度はほぼ同じですが、この立体買換えは例外で、法人に関しては平成23年に廃止されています。ただし通常の買換え制度(7号買換え)の要件に該当すれば80%は繰り延べることが可能です。

 

 土地の有効利用を促す制度であるため、通常の買換えよりも要件が緩く、繰延べ額も100%と優遇されています。
また資金負担なく土地の有効活用ができる点もメリットとしてあります。