不動産の買換え制度 ② 事業用

posted by 2019.11.14

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 前回の続きで買換えの具体的な内容を見ていきます。

 買換えの大まかな区分としては次のようなものがあります。

・事業用と居住用

・利益が出ている場合と損失が出ている場合

・個人と法人の違い

 

 まずは代表的な買換えである「個人の事業用買換え」について確認します。

<概要>

 個人が事業に使っている土地建物等を譲渡し、翌年末までに一定の土地建物等に買換えた場合には、譲渡益の80%が繰り延べられます。
買換資産の取得価額からは、譲渡益の80%相当額が減額されるので、次に売った時に繰り延べた利益が実現し、課税されます。

 

<減額幅>

 同額以上の資産に買い換えた場合には、譲渡益の80%が減額されます。
同額未満の資産に買い換えた場合には、買換資産の80%相当額を基準にするので減額幅は縮小します。
これは譲渡で得た資金を全部使っていないことになるので、その分は繰延べの対象となりません。
繰延べ効果を最大にするには、売った金額以上の資産に買い換える必要があります。

 また平成27年8月10日以降、郊外から都心部への買換えに関しては減額幅が縮小されています。
買換資産が東京都23区内の場合は70%、首都圏、近畿圏、中部圏の一定地域に関しては75%が減額の上限となります。

 

<主な要件>

① 譲渡資産と買換資産が共に事業用

② 譲渡資産と買換資産の組み合わせが時の政策に沿った一定のものに該当すること

③ 買換資産に土地がある場合は、譲渡土地の面積の5倍以内

④ 譲渡年の同一年、前年中、翌年中に買換資産を取得

⑤ 買換資産を1年以内に事業に使用

 ③に関しては、譲渡資産に土地がなければ5倍の計算ができず、買換資産に土地を含めることはできないので注意が必要です。

 

 ②の組み合わせについては、現状8パターンありますが、よく使われる2つについて次回解説していきます。