民法改正により、相続人以外の親族(例:長男の妻)が無償で被相続人の療養看護等を行っていた場合に、相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求することが可能となりました。
従来は相続人でないと特別寄与料を請求できなかったので、長男が先に死亡していた場合、長男の妻は親族ではないので、どれだけ看病で貢献しても相続財産の分与がありませんでした。
一方、何もしていない遠方の長女や次男が全く介護をしていなかったとしても相続財産を取得できることから不公平とされ、改正に至りました。
<いつから>
・令和元年7月1日以後の相続から
<請求先>
・被相続人の財産を直接もらうのではなく、相続人に対して金銭で請求。
<相続税の取扱い>
・被相続人から遺贈により取得したとみなして相続税を計算。
・一親等の血族及び配偶者でないことから、相続税の2割加算の対象。
・申告期限:特別寄与料が確定してから10か月以内。
<支払った相続人の取扱い>
特別寄与料の請求を受けて金銭を支払った相続人については、財産が減るため、申告を既にしていれば更正の請求をして還付を受けます。
更正の請求の期限は原則5年以内ですが、特殊な事情に該当すれば例外的に、該当した日から4か月以内となります。
特別寄与料の支払いも改正により該当することになったので、確定日から4か月以内であれば還付の請求をすることができます(払った方と受け取った方で期限が異なります)。
制度ができたものの特別寄与料の請求は、依然としてハードルは高そうです。
お世話になった人に確実に財産を遺すには、遺言が一番確実と言えるでしょう。