社員の個人事業主化 ③

posted by 2019.10.17

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 前回の続きで社員を個人事業主化した場合の税金への影響を見ていきます。

 今回は所得税で、事業所得給与所得のどちらに該当するかという論点です。
事業所得給与所得の一番の違いは、経費が引けるかどうかです。
事業所得に該当すれば経費が引けますし、給与所得に該当すれば経費は引けず、概算経費である給与所得控除のみが引けます。

 このテーマは長い間、それこそ何十年も争われてきましたが、その原因としては、契約の仕方が千差万別で一概には判断しにくいこと、業種によっては給与所得控除以上に経費がかかっていることがあります。
ちなみにこれまで争われてきた職種としては、弁護士、バイオリニスト、電気検針員、キャディー、大工、麻酔医などがあります。

 

<判断のポイント>

① 拘束性(時間・場所)

働く場所や時間が指定されていれば給与所得、自由なら事業所得。

② 報酬の労務対策性

時間単価で報酬が決まるなら給与所得、仕事ごとなら事業所得。

③ 組織への従属性

就業規則、福利厚生、罰金制度など社員と同じ扱いなら給与所得、無関係なら事業所得。

④ 代替性

受けた仕事を本人しかできないのが給与所得、さらに外注したり、補助者を使えるのが事業所得、

⑤ 費用負担

材料代や設備を会社が用意すれば給与所得、本人が用意すれば事業所得。

⑥ 専属性

専属が条件なのが給与所得、他社の仕事も受けれて、実際にしていれば事業所得。

⑦ 危険負担

業務上の損失を会社が負担するのが給与所得、本人が負担するのが事業所得。

⑧ 諾否の自由

仕事の依頼を拒否できないのが給与所得、拒否できるのが事業所得。

⑨ 指揮監督

業務を遂行する上で会社からの指揮監督が強いものは給与所得、自由度が高く自分で仕事の仕方を決められるものが事業所得。

⑩ 形式面

雇用契約を結び、社会保険に加入していれば給与所得、請負契約等を結び、本人が国保等に加入し、確定申告していれば事業所得。

 

 長くなったので、事例への当てはめは次回へ続きます。