消費税の免税判定の5回目は特定新規設立法人です。
昨日に続いての”特定”ですが、イメージは大企業が子会社を作った場合は免税期間なしでいきなり課税になる、というものです。
判定が複雑なので順番に掘り下げていきます。
① 概要
特定要件に該当し、株主の基準期間における課税売上高が5億円超であれば基準期間がない事業年度であっても免税になりません。
② 特定要件
・株式の50%超を「他の者」に直接又は間接に保有されている。
・「他の者」には「他の者と関係のある一定の者」を含む。
つまり、特定の株主が関係者と合わせて50%超出資して会社を設立した場合です。
③ 他の者と関係のある一定の者
・他の者の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)。
・他の者の内縁、使用人(他の者が個人の場合)、これらの生計一親族
・他の者が株を100%所有している法人(他の者が個人の場合は親族等と合わせて100%)。
「他の者」という表現が分かりづらいですが、一人の株主を基準としてその親族や100%子会社までを含みます。
大株主であっても他人が1%でも株を持っていれば、その法人はカウントしません。
④ 判定に使う売上げ
・他の者の基準期間の売上高
・他の者が100%支配する法人の基準期間の課税売上高
・別生計親族が100%支配する会社は含まない。
⑤ 課税になる具体例
2年前の課税売上高が5億円を超えている前提で次のような場合が該当します。
・個人が法人成りした場合(身内で50%超出資)
・法人が50%超出資して子会社を作った場合
・既存法人の役員が株主となって法人を設立した場合(役員が既存法人の株を100%保有)
⑥ 免税になる具体例
・設立した法人の株主のうち50%超が他人。
・33%ずつの合弁で法人を作った場合(50%超の株主がいない)。
・既存法人の役員が株主だが、既存法人が100%子会社でない(法人が判定から外れ、役員の2年前の課税売上高で判定)。
かなり複雑です。
まずは株主の中に2年前の売上げが5億円を超える人(会社)がいるかどうかを確認します。
個人株主で特に事業をしていない場合は、売上げはありませんが、100%子会社を持っていればその分の売上げも5億円の判定に含みます。
また個人事業主が法人成りした場合は、大抵は要件に引っ掛かるので、2年前の売上げに注意しましょう。
(つづく)