消費税の納税義務者 ④ 特定期間

posted by 2019.06.20

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 消費税の免税判定の4回目は特定期間です。

 ”特定期間”というふわっとした名前では内容がよく分からないので、平たく言うと「設立1年目の前半6ヶ月」のことです。

 

 通常は2年前(基準期間)の売上げで課税か免税かを判定するので、基準期間がない設立当初の2年間は免税になります。
すると2年ごとに会社を作っては畳む人が出てきます。

 そこで設立2年目の判定をする際に、前年(設立1年目)の前半6ヶ月の売上げを使うことになりました。
前半6ヶ月の時点で売上が1000万円を超えていれば、当然年間ベースでも1000万円を超えるので、十分消費税を払うだけの規模になっていると判断され、免税期間は設立1年目だけになります。

 ただみんながみんなきっちり帳簿をつけているわけではないので「設立1年目は商売に必死で途中で売上を集計するどころではなかった」という人も出てきます。
そこで売上げだけでなく、給与も判定要素に加えられました。
給与はさすがに明細を作るのでいくら払ったか分かります。

 ということで、特定期間における課税売上高と給与の両方が1000万円を超える2年目から消費税がかかることとなります。

 

 ここからが節税ポイントです。

 設立当初の資金繰りのためにもできるだけ免税期間は長く取りたいところです。方法としては2つあります。

 

① 特定期間を作らない

 特定期間は正確には「個人事業者の前年1/1~6/30、法人の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間」を言います。
ということは個人の場合は7/1以後に開業すれば特定期間がないので、1年目と2年目が免税になります。
法人の場合は1期目が6ヶ月ない場合は当然として、7ヶ月以下であれば特定期間はないことになります。1ヶ月は集計のための期間を見てくれています。

 

② 給料を調整する

 売上は多いほどいいですし、相手もあることなので6ヶ月で1000万円以下に調整するのは難しいかも知れません。
給与については従業員分は当然払わないといけませんが、役員報酬については当初は金額を抑えるなり、事前確定給与で後半に持ってくるなり調整は可能です。

 

 法人設立の目的の1つとして消費税の節税を重視する場合は、事前にシミュレーションして設立日や決算月を検討するようにしましょう。

(つづく)