前回の続きで社会保険の個人事業での加入拡大について見ていきます。
前回は従業員の観点で加入義務があるかどうかでしたが、今回はそもそも事業所として加入義務があるかどうかという観点です。
法人は役員一人であっても強制加入ですが、個人事業の場合は業種や規模によって任意加入となるケースがあります。
2.個人事業での業種拡大
① 任意加入(従来)
業種では製造、建築、旅客、物販、賃貸、医療など法定16業種において、従業員5人以上で強制加入、4人以下で任意加入となっていました。
法定16業種に含まれない業種としては、サービス、飲食、農林漁業、宗教などがあり、これらの業種では従業員が5人以上であっても任意加入となります。
② 改正内容
①の法定16業種に弁護士や税理士などいわゆる”士業”が追加されます。
追加の理由としては次のような点があります。
・士業は社会保険の手続きができるだけの事務処理能力がある。
・個人事業の割合が高いだけに非適用になってしまっている従業員が多い。
・制度上法人化しにくい(例:弁護士以外は資格者が2人以上と法人にできない等)ので社会保険上は個別対応が必要。
③ 改正時期
令和4年10月1日~
法定16業種が変更されるのは昭和28年以来です。
社会保険が強制適用になると事業者も従業員も負担は増えますが、人の採用の面で社会保険加入が事実上避けられない業種もありますし、長い目で見れば従業員本人にもメリットはあります。
今後も法的な強制あるいは事実上の必要性によって社会保険に加入する企業は増える傾向にありそうです。