金融検査マニュアル・別冊④

posted by 2013.04.18

金融検査マニュアル別冊の大目に見てもらえる28件の事例の内、参考になりそうなものをいくつか紹介させて頂きます。

事例その1 社長からの借入金

 中小企業では、会社が社長個人からお金を借りていることがよくあります。決算書では「借入金」として負債に計上されますが、これを自己資本としてみてもらうことも可能です。というのも中小企業の場合、社長というのは株主でもあることが普通です。つまり、資本金借入金も結局は社長の財布から出ているのです。それなら一緒にしてしまえ、ということです。事例では、決算書上は債務超過だけど社長からの借入金を自己資本とみなすと資産超過になるので「正常先」でかまわない、としています。

ここで一つ、気になるエピソードを。
昔、顧問先の社長と一緒に日本政策金融公庫へ融資の申し込みに行きました。その際、担当の方から「うちは代表者からの借入金は本当に自己資本とみなして審査していますから」と言われました。「うちは本当に」ということは、よそでは実際にはやってないということなのでしょうか。 

事例その2 多額の役員報酬で赤字

 中小企業の場合、社長への役員報酬が経費の大部分を占めることも珍しくありません。この場合、多額の役員報酬と売上の減少が相まって、赤字決算に陥ることもよくあります。赤字決算の場合、「要注意先」以下に区分されることが多いのですが、赤字の原因が社長の高額な給料にあり、かつ、その高額な給料を返済資金に回してくれるのであれば、「正常先」とみてかまわない、としています。

事例その3 社長と会社は一心同体

もし会社が債務超過であっても、社長個人がその債務超過額をカバーできるほどの資産を持っており、社長がその個人資産を銀行への返済に使ってかまわないと言っているのであれば、債務超過ではないとみなしてよいそうです。

事例その4 家族の支え

会社は赤字、社長も自宅ぐらいしか財産はない。そんな場合は家族も巻き込みます。事例では、社長の長男に返済能力があり、返済の意思もあることから「要注意先」に留めてもらえました。
(あと4つは最終回へつづく)