中小企業の投資を税制面で後押しする制度として中小企業投資促進税制や中小企業経営強化税制などがあります。
税制面の後押しの手法としては「特別償却」と「税額控除」とがあります。
特別償却は初年度の減価償却費を多めに計上する制度で、税額控除は減価償却費は普通ですが一定割合を法人税から控除する制度です。
どちらも選べる場合、どちらが有利なのでしょうか。
一般的には償却費を普通に計上した上で税金も控除できる税額控除が両取りで有利ですが必ずしもそうなるのでしょうか。
即時(100%)償却と10%税額控除が選べる中小企業経営強化税制で1000万円の機械をキャッシュで買ったものとして有利不利を検証します。
1.法人税等の計算
<特別償却>
売上高 1億円
売上原価 5000万円
販売費等 2000万円
減価償却費1000万円(100%償却)
当期純利益2000万円
法人税等 700万円(実効税率35%)
※2年目以降は減価償却費がないため、法人税は1050万円。
<税額控除>
売上高 1億円
売上原価 5000万円
販売費等 2000万円
減価償却費 100万円(10年・定額法)
当期純利益2900万円
法人税等 1015万円(実効税率35%)
税額控除 100万円(10%)
差引法人税 915万円
※2年目以降は法人税は1015万円で変わらず。
2.税負担の比較
<初年度>
特別償却の方が法人税が215万円安く短期的には特別償却が有利で、資金繰りもその分楽になります。
<10年トータル>
特別償却:700+1050×9年=10150万円
税額控除:915+1015×9年=10050万円
償却が終わる10年トータルでは税額控除の方が100万円法人税が安くなります。
結局どっちを選ぶかという判断基準と特別償却の応用版である特別償却準備金については次回へ続きます。