節税vs改正のいたちごっこ

posted by 2015.05.8

 昨日、株式評価の際に控除する法人税等相当額について解説しましたが、この法人税等を控除しないケースが2つあります。
1つは売買時、もう一つは孫会社です。

 

 株を売買する場合、上場していれば毎日株価がつきますが、非上場株式に公開された株価はありません
他人同士であればいろんな情報を元に相対で株価が決まりますが、身内の間の売買の場合は株価を計算して適正かどうかを判断する必要があります
安すぎたり高すぎたりすると贈与と言われ高額の贈与税がかかることもあり得ます。

 この売買の際の株価を計算する時は法人税等相当額を控除しません
法人税等を控除するのはその瞬間に解散する前提だからです。
売買するということは継続することが想定されるので法人税等を控除しないという理屈になります。
そのため一般的には相続税評価による株価より、売買のための評価の方が高くなる傾向があります。
同じ株なのに多少違和感はありますが、目的が違うと評価も変わるので注意しましょう。

 

 もう1つは孫会社のケースです。
 法人税等を控除するということは4割ほど評価が下がることを意味します。
親会社が子会社の株を持っている場合、法人税等の控除で4割評価が下がります
さらに子会社が孫会社、孫会社が曾孫会社、曾孫会社が…まるでカメの歌のようですが、延々株を持ち続ければ評価はどんどん下がります。
これを応用して節税をしたのがダイエーの中内さんです。
ただ節税効果が大きかったため、法律が変わり子会社までしか法人税等を控除できなくなりました

 頭のいい人が節税を思いつくといたちごっこのように税法が変わっていきます。
税法が複雑怪奇になるのは節税と当局との闘いも要因の一つと言えるでしょう。