役員賞与の出し方 ③利益連動給与

posted by 2014.11.6

 前々回の事前確定届出給与、前回の使用人兼務役員は厳密には”役員賞与”ではないかも知れません。

では普通の中小企業の役員に対して、業績に応じた賞与は出せるものでしょうか。

答えは「非上場会社の場合は限りなく不可に近い」です。

 

次のすべての要件を満たせば役員にも賞与(利益連動給与)を出すことができます。

① 同族会社でない
② 有価証券報告書に記載される利益指標に基づいて算定
③ 確定後1ヶ月以内に支払
④ 損金経理

 

 ①も難しいですが、②の有価証券報告書は上場会社しか作っていないので、事実上、上場会社に限定されます。

 有価証券報告書とは金融商品取引法に基づいて決算ごとに作る書類で、投資家など外部への開示資料で、誰でも見ることができます。
内容としては決算書に加え、沿革など企業概況、リスクなど事業の状況、設備投資、株主や配当などが書かれており、会社の全貌が分かります。
膨大な資料なので、提出義務のない非上場会社が役員賞与のためだけに作れる代物ではありません。

 ただ、利益の変動が大きい中小企業にこそ役員賞与は必要とも言えます。
利益操作の心配も分からなくもないですが、モチベーションアップ、中小企業活性化のために使いやすい利益連動給与を作って欲しいものです。