KDDIの申告漏れのニュースが興味深かったので深堀りしてみようと思います。
”159億円の申告漏れ”とニュースに出ていたので「高い電話代払ってんのに脱税してるんか!?」と思った方もおられるかも知れませんがそういう話ではなくむしろKDDIには気の毒な内容であると感じました。
昨日の日経新聞の記事から抜粋します。
KDDIによると、携帯電話基地局の鉄塔の耐用年数を21年として毎年減価償却をしていたが、国税局は耐用年数は40年だとして、より少ない額しか償却できないと指摘した。
耐用年数表を見てみると
「電気通信事業用・その他の線路設備」 21年
「放送用又は無線通信用のもの・鉄塔及び鉄柱・その他のもの」 40年
どちらが正しいのでしょう?
記事からの情報だけでは判断できませんが21年がまちがいとは言い切れない気がします。
耐用年数は細かく書かれてはいますが、世の中のすべての資産を網羅することはできないのでどうしても”その他”という表現が出てきたり、どちらとも取れる事例も出てきます。
そうなると実際どれぐらい使えるかも判断の基準になってきますが、それが40年に近かったのかも知れません。
記事では続いてこうあります。
KDDIは取材に「鉄塔の耐用年数について見解の違いがある。以前から適正な納税をしていた」と説明。30日付で国税局に異議を申し立てたことを明らかにした。
KDDIぐらいの規模になると毎年税務調査が来ていたと考えられます。
今まで21年で償却していて何も言われなかったのに急に40年と言われたらそりゃあ納得できないでしょう。
ちなみに償却率は定率法として21年なら0.095、40年なら0.05なので経費が倍ほど変わります。
我々も普段税務調査に立ち会うのですが経営者の方がいつも言われるのが
「前の調査では何も言われんかったのに何で今回は言われるんや!」
税務署の側にも言い分はあるでしょうが、一般の感覚としては毎回判断基準が変わってるように感じてしまいます。
そういうムラは昔に比べると減ってきてはいますが、人間のやることなので完全になくすのは無理かも知れません。
我々税理士としては、経営が調査に振り回されないように、調査の際にしっかり理詰めで対抗するのはもちろんのこと、日々の税務においてもスキのない判断をしていかなければいけないと感じます。