もしあなたの書いた本がベストセラーになったら

posted by 2013.07.24

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 所得税は、所得が多くなるほど税率も高くなります。
これを超過累進制度といいます。所得が195万円以下なら税率は5%ですが、1800万円を超えると税率は40%になります。
ちなみに住民税は10%で一定です。

 そして、所得というのは1年単位で計算します。
ということは、同じ1億円を貰うのでも、1年間に(1度に)貰うのと、5000万円ずつ2年(2回)に分けて貰うのとでは、税額は変わってきます

具体的に計算してみましょう。細かい話は抜きにしてイメージで捉えて下さい。

1年で全額1億円…所得税3700万円

・5000万円ずつ2年…所得税1700万円×2年=3400万円(▲300万円)

・3333万円ずつ3年…所得税1040万円×3年=3100万円(▲600万円)

 

 そうすると、「1度に貰うのではなく何回かに分けて貰えばええやん」と思いますよね。
でも所得税は「権利確定主義」なので、契約書なんかで「1億円貰います」などと決めてしまうと、実際の支払回数に関係なく、1度に1億円の所得が発生したものと考えます。そう簡単に節税はさせてもらえません。

 節税なんてセコいこと考える人はほっといてもいいのですが、現行の超過累進制度をそのまま適用してはかわいそうな人もいます。
それは、毎年の所得が大きく変動する人です。例えば作家
今年1億円儲けたとしても、来年同じように稼げる保証はありません。それを、毎年1億円の役員報酬を貰うどこかの社長と同じように課税してはかわいそうです。

 所得税では、一過性の所得は担税力が低いと考えます。一過性といえば「一時所得」。これは競馬、競輪などの払戻金、保険の満期金、遺失物の拾得、埋蔵金の発掘、などによる所得ですが、一時所得は「2分の1課税」といいまして、1億円稼いでも半分の5000万円しか課税されません。給与所得や不動産所得に比べると税が軽減されます。

 作家の印税を「一過性」と言い切ってしまうと、著名な先生方には怒られそうですが、そうはいっても当たり外れは付き物です。そんな訳で、印税による所得は「一過性の一時所得」ではないけれど、「毎年の変動が大きい所得」ということで、「平均課税」という制度の対象になります。
受験生泣かせのややこしい計算方法なので詳細は省きますが、上記の計算のように少し税金が安くなります。

あなたの書いた本がベストセラーになったらこの記事のことを思い出して下さい。