保険金と税 ④ 個人が受ける生命保険金

posted by 2019.02.7

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 保険金と税の4回目は【個人が受ける生命保険金】です。

 誰が得をしたのか、その得の原因となる保険料は誰が負担したのか、負担した人と得をした人の関係性は何か、ということに着目して課税されます。

 

1.保険金の例

・死亡保険金
・満期保険金
・解約返戻金
・名義変更

 

2.税金の取扱い

 登場人物は基本的には3者で、その組合せによってかかる税金が変わります。

① 所得税 ※1

 被保険者:父 契約者:父 受取人:父

② 相続税 ※2

 被保険者:父 契約者:父 受取人:子

③ 贈与税 ※3

 被保険者:父 契約者:母 受取人:子

 

※1 所得税
 一時所得として50万円を引いて✕1/2したもの総合課税(給与や事業との合算)で所得税がかかります。
保険金を年金で受け取った場合には雑所得に該当します。毎年少しずつもらえるメリットはありますが、一時所得のように1/2課税ではないので税率によっては所得税が多くなることがあります。

※2 相続税
 相続人が受け取った生命保険金については非課税限度額(500万円✕法定相続人の数)が控除されます。

※3 贈与税
 母から子への贈与として、高額の贈与税が課税されます。
20歳以上の子や孫が受け取った場合は税率が少し低くなります。これは世代間の財産移転を促すための措置です。

 

3.注意点

・2の税金の取扱いは「契約者=保険料負担者」を前提としていますが、異なる場合は実際の保険料負担者を基準に考えます。
税金は実質課税であるため、名目上の契約者より、実際の保険料負担者の方が重視されます。

・③のケースは贈与税の負担が大きいため、保険金ではなく保険料を贈与する方が移転に係る税負担は軽くなります

・具体的には加入時に母から子へ保険料を贈与して、契約者を子にしておけば原資である保険料の贈与で済むため、贈与額を少なく抑えることができて、受取時にも①に該当し、一時所得として1/2課税で済みます。

 

 生命保険金については金額が大きいため、思わぬ課税を受けると大きく目減りしてしまいます。
加入する際に、受取時の課税を想定しておきましょう。