前回の続きで小規模宅地等の特例の”新家なき子”について見ていきます。
”家なき子”というのは「自分で家を所有していない子ども」という意味です。
別居親族の場合、今は何らかの理由で別居して暮らしているけれども、持ち家もないことだし、いつか実家に帰ってきて住むかも知れない、という可能性の元に8割減額されます。ただし、要件は同居親族や生計一親族に比べて多めです。
1.要件
① 日本国籍を有している
② 亡くなった人に配偶者や同居親族がいない
③ 相続した宅地を相続税の申告期限まで保有継続
④ 亡くなる前3年以内に持ち家に住んだことがない
⑤ 亡くなった時に住んでる家屋を過去に所有していたことがない
2.改正部分
上記の要件のうち、改正で厳しくなったのが④⑤です(R2.4月以降の相続~)。
④ 亡くなる前3年以内に持ち家に住んだことがない
・改正前:本人又は配偶者の所有する家屋
・改正後:本人、配偶者、3親等以内の親族、関連会社
この改正により、別居の子が関連会社に名義を移して自己所有でなくしているケースや、亡くなった方所有のマンションに別居の子が賃貸契約で住んでいる場合が除外されるようになりました。
⑤ 亡くなった時に住んでいる家屋を過去に所有していたことがない
・改正前:要件なし
・改正後:過去の所有状況も影響
この改正により、”家なき子”になるためにリース会社等へ一旦売却して、賃貸で住む「リースバック」ができなくなりました。
④も⑤も”家なき子”になるための抜け穴をふさいでいることになります。
3.海外に住んでいるケース
改正に関連してちょっとややこしいのが海外に住んでいるケースです。
① 日本国籍を有している
日本国籍があれば海外に住んでいても”家なき子”の特例の対象にはなります。
④ 亡くなる前3年以内に持ち家に住んだことがない
この場合の持ち家は日本国内にあるものに限られます。
そのため、海外で自己所有の家屋に住んでいてもOKということになります。
⑤ 亡くなった時に住んでいる家屋を過去に所有していたことがない
1つ前で海外ならOKと書きましたが、亡くなった時に住んでいる家屋を別居の子が自分で所有していれば⑤の方でアウトになります。
ただし、配偶者や親族が所有する海外の家屋で、かつ過去にも自分で所有していなかった家屋に、亡くなった時に住んでいるのはOKです。
その意味では海外の方が現状では少し要件が緩くなっています。
4.必要書類
”家なき子”の適用を受けるには下記の書類が追加的に必要です。
・戸籍の附表や法定相続情報一覧図
・賃貸契約書や住んでいる家屋の登記簿謄本(自己所有でないことの証明)
”家なき子”の特例は複雑ですので、使おうと考えている場合は、事前に要件をきっちり確認しておきましょう。


