先週の続きで退職所得控除の改正について見ていきます。
退職金を2回もらう場合で勤続期間が重なっていると重複部分の退職所得控除が使えませんが、従来は間が丸4年空いていれば退職所得控除を全額使えました。
この「丸4年」が令和7年度税制改正により、「丸9年」に改正されました(令和8年1月1日以降受け取り分から適用)。
65歳で1回目を受け取ったとすると、次は75歳でないと丸9年空けることができず、これまでに比べると増税になります。
「そもそも会社を複数経営してるわけでもないし、2回も退職金なんてもらわないんじゃないの?」
という気もしてきますが、そうとは限りません。
次のような場合も退職金扱いで優遇されるため、退職所得控除の重複の問題が出てきます。
・中小企業の法人役員:小規模企業共済の受け取り
・サラリーマン等 :iDeCoの受け取り
iDeCoについては元々前を19年空けないと退職所得控除をフルに使うことができないため、先にiDeCoを受け取って、4年空けてから退職金を受け取ることが推奨されていました。
今回の改正で4年が9年になったことから退職所得控除をフルで使うのは難しくなっています。
そうなるとiDeCoの方を一時金ではなく年金方式で受け取ることも選択肢として出てきます。
年金方式の場合は、雑所得として総合課税されるため、給与など他の所得との兼ね合いも考慮して受け取り方法を検討することになります。