この時期たまにある問い合わせが「支払調書を受け取ったが金額が違う」というものです。
士業やデザイナーなどへ源泉徴収が必要な報酬等を支払った場合、支払調書を作成します。
税務署には1月末までに提出し、その後本人にも交付しますが、本人の認識と支払調書の内容が異なることがあります。
ズレの原因としては次のようなものが考えられます。
1.消費税
原則として支払調書は税込みで作成しますが、支払った側が税抜経理をしていれば、税抜きで作成することも認められています。
税抜きで作成する場合は、支払調書の摘要の欄に「消費税額〇〇円」と記載するようにします。
インボイス導入後はちょっとややこしいパターンもあります。
インボイスがない個人事業主に支払った場合、現行では8割しか控除できず、2割部分は本体部分に乗せて経理するので、支払調書もそのまま作成されることがあります。
例:11万円支払い、インボイスなし
⇒支払金額102,000円、消費税額8,000円と記載
この書き方だとお互いに分かりづらいので原則通り税込みで作成した方がいいかも知れません。
2.源泉対象外の支払い
支払調書には通常源泉徴収が必要な業務の報酬のみを記載します。
それ以外の立替経費の精算や源泉徴収が不要な作業も同時に請求している場合、金額の認識がずれることがあります。
3.締め日の違い
最も多いのがこのパターンで、支払った方は総勘定元帳から引っ張ってくるので発生主義で集計していて、受け取った方は現金主義で集計していると、12月請求1月支払い分がどちらに入るかで金額がずれます。
これはどちらも正しいですし、1か月前後にずれるだけで大きな違いにならないので不一致のまま確定申告を進めても問題ありません。絶対支払調書通りに確定申告をしないといけない訳ではなく、支払調書はあくまで参考資料です。
発生主義と現金主義のどちらが正しいかについては諸説あり、税務署としてどちらが正しいかはっきりとした見解は出していません。
実際に支払った時に天引きするという源泉徴収の考え方としては現金主義寄りですが、作成のしやすさで言うと発生主義寄りになります。
あえて言えば「支払時期到来主義」が正しいのかも知れません。
ちなみに支払調書の記載例を見ると「支払金額」と「源泉徴収税額」の欄は2段書きになっていて、上段には未払いのものを記載すると解説されています。
この未払いは「支払調書作成日現在において未払い」のものを書くのが正しく、「12月末現在において未払い」ではありません。
なぜこんな書き方なのかと言うと、税務署が1月末において未払いのものを把握したいためです。
支払調書を受け取った人が確定申告をして還付を受ける場合、元となる源泉徴収税額が納付されていなければ還付が行われず、納付が終わるまで還付手続きが留保される仕組みになっています。
そのため、12月末ではなく、支払調書を作成する1月末頃の状況を確認しています。
源泉徴収や支払調書の世界は、ある意味奥が深く、ある意味おおらかなところがあります。


