税制改正大綱の7回目は「防衛増税」です。
防衛費に関しては令和5年度税制改正大綱において、1兆円を確保する方針が決まっていましたが、増税の開始時期は未定でした。
今回の大綱において時期が明確になり、どの税目を増税するかも決まりました。
税目では法人税とたばこ税はほぼ予定通りの増税となりましたが、復興特別所得税の付け替えは見送られています。
1.防衛特別法人税の創設
① 計算
(基準法人税額-基礎控除500万円) × 4%-税額控除
基礎控除があるので、法人税額が500万円以下であれば防衛特別法人税はかかりません。
逆算すると中小企業の場合、課税所得が約2440万円以下であればかからないことになります。
なお基準法人税額は各種税額控除前の金額で、式後半の税額控除で対応する分の外国税額控除や所得税額控除を行ないます。
② 適用時期
・令和8年4月1日以後開始事業年度から
2.たばこ税
加熱式たばこは紙巻きたばこに比べて2割ほど税金が安いため、税負担差を解消する見直しが行われます。
その上で1本あたり0.5円 ×3回引き上げられます。
① 加熱式たばこの見直し
<新換算方法>
・紙等で巻いた加熱式たばこ:0.35g=紙たばこ1本
・それ以外の加熱式たばこ :0.2g =紙たばこ1本
・品目ごと1個あたり4未満:品目1個 =紙たばこ20本
<課税標準>
≪第1段階≫ 令和8年4月1日~
・旧換算本数 ×0.5+新換算本数 ×0.5
≪第2段階≫ 令和8年10月1日~
・新換算本数 ×1.0
② 税率引き上げ
・現行1本あたり:6.802円
・第1段階(令和9年4月1日~):7.302円
・第2段階(令和10年4月1日~):7.802円
・第3段階(令和11年4月1日~):8.302円
個人輸入や海外からのお土産も同様に1本あたり0.5円 ×3回引き上げられます。
令和5年度税制改正大綱の案より負担は少なくなりましたが、取れるところから取る感は否めないところです。
今回は改正のなかった所得税や復興特別所得税についても今後注視が必要です。