税金の世界には様々な都市伝説がありますが、税務調査に関するものも多いです。
元々”怖いもの”である上に実態がよく分からないので噂話が先行しがちです。
その中の1つが「税理士を変更すると税務調査が来る」というものです。
結論から申し上げるとこれは「ガセ」です。
税務署はそんな基準で調査先を選定していません。
そもそも税務署は翌年の申告書が提出されるまでは税理士が変わっていることを知りません(昨年から期中の通知書ができています)。
税理士が変わると税務調査が来る理由として(噂も含めて)次のようなことが考えられます。
➀ 税理士からの密告
顧問契約を切られた税理士がその腹いせに税務署に何か密告したのではないか、という説もありますが、よほどサイコな人でない限りこれは考えられません。
税理士には当然守秘義務があるので顧客の情報を漏らすことは法律違反になります。
また自分が関与していた時期に脱税等の不正があれば、税理士の責任問題になる可能性もあります。
② 会計処理の大幅な変更
会計処理には幅があるので、税理士が変わると会計処理が大きく変わることもあります。
そうすると決算書上の数字も変動するので、税務署から見ると「会社の状況に大きく変動があるようなので調査に行ってみようか」となることもあり得ます。
変更の必要性にも寄りますが、大幅に表示等が変わる場合はそのあたりも念頭に置いておきましょう。
③ たまたま
3年ごと5年ごとなど定期的に税務調査が来る会社もありますので、そのタイミングに当たっただけの可能性もあります。
たまたまとはちょっと違いますが、代替わりをしたタイミングで税理士を変更することはよくあります。
代替わりの際には役員退職金を出すなど決算上大きな動きもあるので、税理士変更と言うより内容面から調査に来ていることも考えられます。
というわけで税理士変更と税務調査には関連性はないので、気に入らなければ遠慮なく変えてしまいましょう。
ただし決算直前は実務的に避けた方がいいかも知れません。