外国人Jリーガーの申告漏れ

posted by 2023.11.13

soccer_boy_brazil

 先日、Jリーグの外国人選手が国税局から申告漏れを指摘されたというニュースが出ていました。

 複数のクラブで外国人選手を「非居住者」として扱い、20.42%を源泉徴収していたのですが、実態としては「居住者」であるため、所得税45%として追徴課税されたようです。

 

 「非居住者」であれば日本では20.42%が源泉徴収されて終わりですが、「居住者」であれば通常の日本人と同じように超過累進税率(最高45%)で課税され、さらに住民税も10%かかります。

「居住者」とは、日本国内に「住所」があるかまたは現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人をいいます。
さらに「住所」とは、「各人の生活の本拠」をいい、国内に「生活の本拠」があるかどうかについては、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになっています。
また「居所」とは、「その人の生活の本拠という程度には至らないものの、その人が現実に居住している場所」とされています。
なお、日本と本国の両方で「居住者」として課税された場合には租税条約により二重課税とならないよう調整がされます。

 このように「居住者」に該当するかどうかは総合判断が必要で、税金も大きく変わるため、税務調査や裁判でも争われてきました。

 Jリーグの外国人選手に関しては、かつては単年契約が多かったことから慣習として「非居住者」として扱われてきたようですが、複数年契約の場合にはさすがに「居住者」に該当すると認定されたようです。

 

 もう一つ、ニュースで気になったのは『国内の税金を所属クラブが負担する形で契約を結んでいた』という点です。
税金は本人が負担すべきものなので、会社が負担した場合には税金分さらに年俸を支払ったことになります。
実際には手取り額が年俸になるように源泉徴収の20.42%分の上乗せをしていたと考えられます。

 

 税金をどう負担するか契約によって定めることは可能ですが、理論上は上乗せして税金がかかることになるため、普段の国内の支払においても気をつけるようにしましょう。