仮想通貨の情報共有

posted by 2022.09.16

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 仮想通貨(暗号資産)の取引に関して国際的に情報共有して課税漏れを防ぐことが検討されています。

 仮想である時点で動きをつかみにくい上に、海外の交換業者を通じて取引している場合はさらに把握が困難で課税漏れが発生しているのが現状です。

 ”お金”に関してはかつては支払調書で情報収集して必要に応じて個別調査していましたが、平成29年以降はそれに加えて共通報告基準(CRS)により情報収集を行っています。

 

<支払調書>

 100万円以上の海外送金(入出金)があった場合には金融機関から税務署に支払調書が提出されます。
税務署は疑問点がある場合は、送金があった方に対して「国外送金等のお尋ね」を送って内容を確認します。
お尋ねへの回答は義務ではなく罰金もありませんが、答えないと余計に調べられることになるので答えておいた方がいいでしょう。

 

<共通報告基準(CRS)>

 CRSとは各国の金融機関が自国から見て非居住者の口座情報を税務当局に報告し、自動的に情報交換される制度です。
報告対象国は101の国と地域で、スイスやアイルランドも含めたヨーロッパ各国、中国、香港、シンガポールなどのアジア諸国などが含まれます。
アメリカは対象国ではありませんが、FATCAという独自の制度で情報収集しています。

 令和3事務年度の実績では、約247万口座の情報を92の国と地域から受け取り、約66万口座の情報を77の国と地域に提供しています。
この口座情報は実際に調査に活用され、大阪では贈与税の申告漏れ13億円の発見にもつながっています。

 

<仮想通貨への導入>

 CRSが一定の効果を上げているため、仮想通貨においても同様の仕組みが検討されています。
2025年頃の導入を目指して、OECDの部会で議論されており、合意されれば10月のG20財務相・中央銀行総裁会議で報告される見通しです。
導入には租税条約の改正、交換業者のコストや手数料への転嫁、各国における登録制度の違いなど課題はあるものの、仮想通貨の課税漏れやマネーロンダリングの問題は無視できないレベルになっているため、監視強化の方向で進んでいきそうです。