相続税の試算 ③ ポイント

posted by 2022.08.18

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 前回の続きで相続税試算をする上でのポイントを確認します。

 

① 不動産

<評価減>

 相続税に大きく影響を与えるのが「小規模宅地の評価減」を使えるかどうかです。
自宅の使用状況や今後の予定をお聞きして判定します。
配偶者や同居の子が相続してそのまま住む場合は8割減できますが、別居の子などが相続した場合は原則的には使えません。
”家なき子”と呼ばれる限定的な状況であれば使えますが、その判定は複雑です。

<現況確認>

 登記がちゃんとできているか、境界確定ができているかという点も試算の際に確認しておくのがベターです。

 名義変更せずに放置されている場合は先延ばしするほど手続きが煩雑になっていきます。すぐ壊す建物でない限り、名義変更の登記はすべきですし、令和6年4月1日以後相続登記は義務化されます。

 近隣との境界確定についてはできていないと、いざ売ろうとなった場合に障害となることがあります。手間はかかりますが売る可能性があれば、これもやっておくべきことと言えます。

 

② 保険

 契約の仕方や保険料負担によって課税が異なります。

<非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)が使えるケース>

・被保険者 :被相続人(亡くなった方)
・契約者  :被相続人
・保険料支払:被相続人
・受取人  :相続人

<相続税かかるが見落としやすいケース>

・被保険者 :相続人
・契約者  :被相続人
・保険料支払:被相続人
・受取人  :相続人

 契約者である被相続人が亡くなっても保険金が出ないので見落としがちですが、被相続人が保険料を負担しているため、亡くなった時点の解約返戻金相当が財産になります。

 上記以外でも契約条件が変わると相続税ではなく贈与税や所得税がかかるケースもあります。
相続税試算の段階で想定外の課税が分かった場合は、受取人の変更などにより高額の贈与税を避けることも可能です。

 

③ 債務

 住宅ローンが団信により消滅する場合、債務控除はありません。

 

 相続税を試算することにより、全体像と最大限の税額を把握して納税資金を想定しておくことがまず目的となります。
その上で相続対策として何が実行できるのか、どう分けてどう相続税を払うのか、もめないために遺言を作るのかどうか、といった点を検討してもらったらいいように思います。